NLWフットボールジグ開発秘話 その3 【ジグヘッド形状に込めたもの】

ジグ話の続きです。

昨日の記事では、スモールフックの可能性について書かせて頂きましたが(記事)、今日は実際にどんな感じで使用し、その使用条件からどのような機能をこのフットボールジグに詰め込んで行ったか書いて行きますね。

と言う訳で、その本題に入る前に大前提となる五大湖のスモールマウス狙いについて少しご説明させて頂きたいと思います。

五大湖のスモールマウス狙いで王道パターンと言えばチューブジグとドロップショットリグの2パターンだと思うのですが、特にチューブジグはポピュラーで、五大湖では絶対に外せないルアーとなっています。

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ちなみにチューブジグとはこんな感じ。

チューブワームの中空部にジグヘッドを装着したシンプル極まりないリグなのですが、これが五大湖周辺では一番人気のスモールマウスベイト!(日本ではとっくの昔に忘れ去られた過去のルアーだと思いますけど~。^_^;)

そんなチューブさんですが、僕自身はこのルアーはエリー湖やナイアガラリバーの場合は、スモールマウスのメインベイトのゴビーを模したものでは無いかと考えています。

と言うのも、今まで釣り上げたエリー湖やナイアガラリバーのスモールマウス達が排泄した糞や吐き出した胃の内容物を観察してみたところ、糞の殆どはベイトフィッシュを食ってる系のダーク色の糞。
そして吐き出す胃内容物は殆どの場合がゴビーかシャイナー。

そんな事を考えるにつけ、チューブはゴビーじゃないかと勝手な推察を繰り広げている次第です。

ちなみにゴビーとはこんな魚。↓

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ヨシノボリみたいな魚で、シルエットとかチューブそっくり!(笑)


余談になりますが、エリー湖の場合、水がクリアアップしたり、ドピーカンで穏やかな時などはスモールマウスがサスペンドする傾向があり、そういう場合はドロップショットリグやシャイナーを模したルアー(SCスメルトなど)が良くなる傾向があります。
そして、それとは逆に濁りが入ったり、ラフな天候の時はスモールマウスが沈み、ボトムべったりのチューブジグやセンコーなどの高比重ワームなどへの反応が良くなるという傾向があります。


ってな訳で、そのチューブさんですが、どうやって使われているかと言うと、ひたすらドラッギング!!

いわゆるズル引きです。

普通にキャストしてズル引きもありですが、多くの場合は湖流や風で流されるボートに任せてズル引きするか、トローリングモーターで微速移動しながらズル引きという使われ方が圧倒的に多いです。

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この写真はドラッギング中のポール艇。

シーアンカー2個掛けで船を風に対して横に向け、手元のリモコンで船首のトローリングモーターを操作してボートコントロールしながら4人同時にズリズリ中。(笑)

基本的にハードボトムをズル引いて行く訳ですが、バス達はゴビーが沢山居るエリアにスクールしている場合が多く、そういう場所を如何に効率よく探し出せるかがエリー湖では非常に重要になって来ます。

公式で言えば、「ゴビーが多い場所=スモールマウスのスクールが居る確率が高い」と、非常に単純明快なのですが、そのゴビーが多い場所というのがかなり厄介な場所な事が多いんですね~。(^_^;)

その筆頭が、ゼブラマッスルと言われる貝で形成された貝ボトムエリア
このゼブラマッスルベッドと呼ばれる貝ボトムにゴビーが集まっている事が多いんです。

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これは実際のエリー湖のボトム写真ですが、こういう貝ビッシリのボトムがキーになる事が非常に多く、一番最初にチェックするべきスポット。

が、当然の事ながら貝さん達が密集したスポットですから、根掛かり多発の危険地帯でもあります。

根掛かりを回避したいだけならテキサスリグでもいいんじゃね?って話はあるかもしれませんが、ラインが貝のエッジに擦れると20ポンドフロロであろうが一発で切れてしまうので、テキサスリグとかヘビキャロとか、ラインがボトムに直接触れるものは使い物にならないというのが貝ベットの厄介なところ。

が、チューブジグならラインの結び目がボディー上側に位置することと、チューブワームのヘッド部分が若干のクッションとなってバンパーの役目を果たして、ラインブレイクのリスクを減らせるのがチューブジグの凄いところです。(上のチューブジグ写真では、タイイングアイを前寄りに抜いてますが、もう少し後ろに下げればラインブレイクの確率を下げることが出来ます)

そんな感じで、半根掛かり状態を繰り返しながら貝ボトムやロックボトムを進み、ハングオフ時のイレギュラーアクションで、リアクションバイトさせられるというのがチューブの強みではないかと思います。

が、チューブにも弱点があり、どうしても横にコケてしまいやすい構造な為、何かの拍子にジグが横倒しになってフックがガッツリ根掛かりしてしまう事があるのが最大の弱点。

ってな訳で、五大湖の最強ベイトにも弱点がある事を知ったアマノジャクルアービルダーはメラメラと闘志を燃やしてしまった訳です。

最強チューブにフットボールジグで勝負したる!!(アホ。笑)

この貝ジャングルをズル引きできるフットボールジグがあれば、絶対に出番はあるはず!とヘッド形状の研究に没頭。

もちろん、ブラシガード等を装着すれば、根掛かりを減らせるのは明白ですが、それはヘッドの基本性能があってこそある生きてくる話だと考え試作を重ねます。

そして、そんな試行錯誤の結果出来上がって来たヘッド形状がこの形状でした。

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何の変哲もないヘッドかもしれませんが、自分的にはかなりの力作。(笑)

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上から見るとこんな感じ。
フットボールジグというよりもラウンドヘッドジグに近いかもですが(笑)、横の出っ張りをなるべく抑えてあります。

目的はもちろん、すり抜け性能重視です。

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前から見たらこんな感じ。

横幅が無い分、オムスビ型の低重心形状にして、横方向の安定を確保。

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そして底面前部にフラット面を設けてあります。

このフラット面がソリのような役目をして、ヘッドがボトムの上を進みやすくなります。

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これはエリー湖で1日使用したジグ君達♪

ジグヘッドのフラット面が貝のエッジやハードボトムで擦り傷だらけになっているのがご確認頂けますでしょうか?

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そして、ガッツンガッツン小突きながら何キロもエリー湖の湖底をズル引きすると、塗装はこんな状態↑になってしまいます。(笑)

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これは真横からヘッドを見た図なのですが、ボトムをズル引きする際、おそらく一番最初にコンタクトしている部分&力の方向は矢印の感じではないかと思います。

そして、ヘッドの先端部が何かにコンタクトした時に、ジグが障害物の中に潜り込もうとするか、上に抜けようとするかの違いで根掛かり率は大きく異なってくるものと考えています。


ちなみに糸でぶら下げた時のヘッドバランスはこんな感じ。↓

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ほぼ水平姿勢を保ってくれるので、中層シェイクとかでも使えるかもですね~。(試したことないけど。笑)


そんなこんなで形になってきたジグヘッド君。

このヘッドで実釣を重ねた結果、ボトムのズル引きで根掛かるのはヘッドが挟まった場合が殆どで、船で反対側に行けばほぼ回収できる事が分かったので、ブラシガードは装着しませんでした。

フックによる根掛かりがそんなにないシチュエーションなのであれば、少しでもフッキングの妨げになりそうなものは切り捨てちゃえ~~~と。(なので、レイダウンみたいな複雑な3次元カバーに撃ち込むような使い方には向きません)

余談になりますが、このフットボールジグを貝ボトムでドラッギング時は、僕はあえてスナップを使っています。
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素人感丸出しのセッティングですが(笑)、これが効果絶大!!

スナップを使用する事でゼブラマッスルによるラインブレイクをほぼ回避する事が出来ます。
僅か15mmほどのパーツですが、流石のゼブラマッスルさん達も金属ワイヤーはカットできない模様!!(難敵ゼブラマッスル軍に勝ったゼ!笑)

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タックルはノースフォークコンポジットのPSR610ML+2500番台のスピニング。
ラインはPE10ポンドにフロロ(レッドスプール)の12ポンドを4.5m接続。

リーダー長を4.5mと長く取っている理由はショック吸収部を多く取りたい為。
それと、このジグを使った釣りではないですが、中層でサスペンドしているスモールマウスをSCスメルト等で狙う時の深度目安にもしています。
これ以上リーダーを長くすると、リールへのフロロ巻き込み量が増えてライントラブルの元になるので、自分は4.5m男。(笑)

タックルに関しては、最初はベイトタックルでやっていたのですが、スピニングの方がジグを早く沈められるのと、繊細なハングオフをベイトタックルよりやりやすいという事もあり、自分は最終的にこのタックルに落ち着きました。
ベイトタックル顔負けのパワーを持つPSRは、こういう釣りには本当に最高ですね~!\(^o^)/


って、ここまで書いてて肝心な事を書くのを忘れてたのですが(汗)、このジグの重量はヘッド重量が12gとなります。(スカート&トレーラーキーパーを装着した完成状態で13.4g前後)

自分が釣りたい場所のシチュエーションに合わせて作り込んで行ったら、ヘッド重量12g(3/7オンス)という、ラバージグのスタンダードから外れる中途半端な重さになってしまいました。(笑)

上記のタックルを用いてエリー湖でこのジグを使う場合、キャスティングで使うなら水深4m以浅。
ボートのドリフティングによるドラッギングで使うなら水深6mぐらいまでがベストマッチの重量となります。

使用方法は、僕はズル引きもしくはボトムバンプで使用しています。

おそらく、もっと細いライン&ドラッギングスピードを落とせばもっと深い場所も狙えるはずですが、何せエリー湖の湖流は異常に強いので、それぐらいが限界。(^_^;)

カレントが最高レベルのエリアとかこんな状況↓ですから、いずれはもう少し深いエリアも狙える重たいモデルも作りたいですね~。



と言う訳で、大変長い文章になってしまいましたが、ジグヘッドの話は以上です。


明日のブログでは、最後の最後まで試行錯誤が続いたトレーラーキーパーについて書かせて頂きますね。

続く・・・・
by nishinelureworks | 2015-02-04 05:03 | Jig | Trackback

ルアー開発、釣り、その他もろもろの徒然記


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