デンプシーテール開発裏話 その1 『全ての原点』
2009年 08月 30日
長らくお待たせしましたデンプシーテール開発裏話。
やっとこさスタートです!
とは言ったものの、一体何から書き始めたら良いモノやら・・・・・・。(汗)
一度では書き収まらないので、何日かに分けて書かせて頂きたいと思います。
超長話になると思いますが、もしご興味のある方がいらっしゃいましたらお付き合い頂ければ幸いです!!
第一話はデンプシーテールの原点になったものからご紹介させて頂きますね。
デンプシーテールの原点になったもの・・・・・全てはこのプロトモデルから始まりました。

全長105mm。
腹部にコロラドブレードを装着したウェイクベイト。
コロラドブレードが装着されている以外は、デンプシーテールとは全く何も共通点が無いですよね。(笑)
が、デンプシーテールにはこのプロトモデルの血が大きく流れています。
いや、デンプシーテールのみならず、現在、稲吉さんを中心に開発を進めているKB105DRはまさにこのボディーが原型。
そして、ブレードクランクにも、このプロトモデルの血が流れています。
このプロトが無ければ、デンプシーテールも、KB105DRも、ブレードクランクも、全て生まれてこなかったと思います。
このルアーを開発したのは、2007年の春~夏にかけて。
2007年と言えば、スーパーチナイを発売した年ですが、実はスーパーチナイの開発と同時進行で、極秘にウェイクベイトの開発を進めていたんです。
そのルアーが上の写真のプロトモデル。
このウッドプロトには開発ネームすら付いていません。
今まで僕が開発に携わったウェイクベイトと言えば、シマノ社のトリプルインパクト。
トリプルインパクトを開発した2002年頃、当時の僕は人口200人ほどの漁村に住み、極度の貧乏生活にあえぎながらも大好きなルアー作りにコツコツと打ち込んでいました。
そして、そんな中、自分自身の持てる力の全てを注ぎ込んで作り上げたのがトリプルインパクトの原型。
トリプルインパクトについては、今更僕が語る必要は無いと思いますが、発売と同時に各地でビッグフィッシュが釣れまくり、シマノ社史上最大のヒットルアーになったと聞いています。
そして、2002年~2003年に掛けてトリプルインパクトシリーズ各種を開発。
しかしその後、トリプルインパクトシリーズの開発を終えた僕は、2007年までウェイクベイトの分野に一切足を踏み入れる事はありませんでした。
何故ならば、自分にとって、『ウェイクベイト=トリプルインパクト』であり、これ以上のウェイクベイトは自分の能力では作れないと思っていたからです。
何人もの方から、トリプルインパクトみたいなルアーのリクエストを頂きましたが、僕の持てるものは全てトリプルインパクトに注ぎ込んでいたし、何よりもトリプルインパクトはツカケンさんやシマノ社のスタッフさん達と力を合わせて作り出したもの。
僕にとってその絆は何よりも大切なもので、その気持ちがより一層、自分をウェイクベイトの開発から遠ざける事になりました。
そして、数年経った2007年。
NLW初のトップウォーターとなるスーパーチナイを開発し、いよいよ思ったわけですよ。(笑)
ウェイクベイトってどうなんだろう?って。
NLWを立ち上げ、新しい技術も開発し、今なら何か作れるんじゃないか?って。
ウェイクベイトを作ると言う事は、自分の中ではトリプルインパクトという強大なルアーに挑戦する事を意味し、それは同時に、数年前にそれを作り上げた自分へ対する挑戦でもありました。
そして、それを実現させる多少の自信もありました。
が、いざ作ってみると、トリプルインパクトの壁はあまりにも高かった!!(笑)
作った本人がこんな事を言うのもどうかと思いますが、トリプルインパクトは完全に完成されたルアーです。
正直な話ですが、色々と作れば作るほど、全ての答えはトリプルインパクトに集約されており、
何で自分にこんなルアーを作れたんだろう?って、不思議でしょうがない。(笑)
何をどうしたら、これだけの要素を一つのルアーとして融合させる事が出来たのか・・・・・。
今だから言える事なのかもしれないですけど、トリプルインパクトの完成度に、ある種の神がかり的なモノすら感じました。
で、出た結論・・・・・・・。
もし、テイルプロップというシステムを組み込んだウェイクベイトを目指すなら、僕にはトリプルインパクト以上のルアーは作れない!!
トリプルインパクトを超えるウェイクベイトは、トリプルインパクトとして作る以外に無い!!!
それが自分の出した結論でした。
そして、4年の眠りから覚めたNLWの極秘ウェイクベイトプロジェクトはトリプルインパクトという強大な敵?(笑)を前にして、こっぱ微塵に打ち砕かれた訳です。(笑)
でも、それは、当時の自分が訳がわからないながらも、そのルアーがたどり着くべきゴール地点に、きちんとそのルアーをたどり着かせていたと言う証でもあり、ルアービルダーとして、非常に嬉しい事でもありました。
という訳で、テイルプロップという道は閉ざされた。。
では、どうするか?
立ち直りだけは超早い典型的B型人間の僕。(爆)
これぐらいじゃあ全くメゲません!(笑)
新しい道を探ろう!!
で、色々な試行錯誤を繰り返してようやく辿りついたルアーが、今日初めてご紹介させて頂いたウッドプロトモデルという訳です。
腹部にコロラドブレードを搭載するシステム。
これも、今となってはどうやって辿り着いたか覚えてません。
何せ、ありとあらゆる事を試しましたから。(笑)
このコロラドブレードセッティングも、きっと何かが閃いたんでしょう。(笑)
このルアーは写真をご覧頂いても解る通り、ボロボロ。
そしてバスも良く釣れました。
このルアーを引くと、ブレードがボディーに当たってカコカコと音を立てながら泳いでくるんですけど、ウェイキングしていると結構面白いようにバスがヒットしてきて、しばらくはこのシステムの改良に夢中♪
が、このルアーでバスを釣り続けているうちに、確かにそれなりに良く釣れるんですけど、だからと言って他のルアーを圧倒するほどの力があるか?と言えば、それも疑問。
実際、凄く釣れると言っていいぐらい良く釣れる。
でも、自分の中の本能がこれはまだ何かが違うと言っている感覚。。
このルアーをウェイキングさせて釣れるバスはトリプルインパクトで釣れるバス。
このルアーでなければならないと言う理由が見つからない。
それなら、ワザワザ新しいルアーを作る必要ないやん、と。(笑)
夢中で研究したこのシステムも、自分が求めている答えではない、と。
またダメか・・・・。
途方に暮れ、諦めかけたその時、このルアーに起こったある異変が、僕にとても大切なヒントを教えてくれたのでした。
そして、デンプシーテールのコンセプトの原点が、一筋の光明のように見えてきたのでした。
つづく・・・。