デンプシーテール開発裏話 その2 『サブサーフェス開眼!!』
2009年 09月 01日
腹部にコロラドブレードを搭載したウェイクベイト。
デンプシーテール、KB105DR、ブレードクランクM5Rなど、NLWの多くのルアーの原点になった事は開発裏話その1で書かせて頂いた通りです。

ウッドに簡易コーティングし、アルミを貼った簡易プロトモデル。
もう、使いすぎてボッロボロ。(笑)
普通、簡易プロトをここまで使い込む事は無いのですが、なんせ、このプロトは良く釣れた。(笑)
カコカコとウェイキングしていると、結構面白いようにバスが出てくれました。
が、それはあくまでウェイクベイトの釣れ方。
たぶんですが、このウッドプロトに食ってきているバスはトリプルインパクトで釣れるバス。
なら、わざわざ新しいルアー要らんやん?って思ってしまった訳です。(苦笑)
そんな疑問が湧き始めた時、このルアーに起こったある異変が新しい可能性を教えてくれたんですわ~。
その異変とは、ウッドプロトの宿命とも言える吸水&浮力低下。
簡易コートを施しただけのウッドプロトの宿命で、浸水を完全に防ぐ事は出来ません。
そして、ウッドが水を吸えば、当然浮力は落ちる。
浮力が落ちる事によってスイムレンジが変わり、ウェイクベイトで作ったはずなのにウェイキングできなくなっちゃったんです。(笑)
水面下を泳ぎだし、あ~、こりゃダメだぁ~って思ったんですけど、そのウッドプロトが泳ぐ姿が妙に気になってしょうがない。
確かにウェイキングは出来なくなっちゃったけど、背中に微妙に水の膜を背負い、水面を微妙にモコモコと盛り上げて泳ぐ姿は妙に釣れそうで、その泳ぐ姿からはスイムベイトみたいな妙なパワーみたいなものを直感的に感じました。
すると、その刹那!
神様のイタズラか、タイミングよく足元のリップラップにベイトフィッシュの群れがさぁーと泳ぎ寄って来たんですね。
で、ダメモトでこのサブサーフェス化したウッドプロトをベイトフィッシュの群れの後ろに投げ込んで、
ベイトフィッシュの群れを追い掛けるようにユックリと水面直下を泳がせていると・・・・・
ゴーン!!!
水面は全く炸裂することなく、いきなりルアーが引ったくられ、ナイスフィッシュがヒット!!
これにはかなりビックリ!
ベイトフィッシュの後ろに、ちゃんとバスが居たのね~んって。(笑)
しかしこの日、これだけでは終わらなかったんです。
その後も似たようなシチュエーションの場所で、微風がリップラップに当たっている場所にベイトフィッシュの群れが入っててくれれば、ほぼ100発100中状態でナイスフィッシュが何匹か連続ヒット!!!
で、これは何かあるぞ?と。
この日、このルアーに食ってきてくれたバスは、ウェイクベイトで今まで釣っていたバスとは明らかに違う感じで、食い方もウェイクベイトのそれとは全く異なる。
ウェイクベイトのように水面を炸裂させることなく、でももの凄い勢いでルアーを引ったくっていく。
上手く言えませんが、迷わずルアーを食ってきている感じです。
根本的に、ウェイクベイト(=トップウォーター)と、サブサーフェスは全く別物だな、と。
もちろん、ウェイクベイトが最強な時(と言うかウェイクベイトでなければならない時)は多々ありますが、
サブサーフェスが炸裂し始めると、もしトップウォータールアーに水面を割って出てくれるバスが1匹居たとしたら、その下にはサブサーフェスに食ってくれるバスが10匹居るぐらいの感じ。
正直、ビビリました。(笑)
そして、サブサーフェスを追求するにつれ、通常はトップで難しい条件下(低水温など)でも、サブサーフェスレンジには食ってきてくれる事が結構あり、トップウォーターとは完全に別物だという事を知る事になりました。
泳ぐ深度で言えば、たったの数センチしか違いませんが、その数センチの違いは果てしなく違う。
で、早速、このウッドプロトを元にウレタンボディー化を進めてみた訳です。
それがこのルアー!!

もうね、ウロコまで彫って、超やる気満々!!(笑)
ウッドプロトであれだけ釣れたし、頂きだぜぇ~!みたいな感じ。(アホ)
がね、これが予想に反してなかなか上手く行かないんですわ~。(涙)
通常、ウッドプロトとウレタンボディーの間にそれほどの誤差は無いので、アジャストは楽なはずなんですが、今回ばっかりは、何度微調整を繰り返しても上手く行かない。
作っても作っても、ウッドプロトのように絶妙な深度を泳いでくれないんです。(涙)
どうやら、水を吸ったウッドプロトは超絶妙にバランスが取れていたようで、それをウレタンボディーで再現する事がどれほど難しいか思い知る事になりました。
そして、そうこうしているうちにもう一つの致命的な問題を発見!!

使い込んでいるうちに、コロラドブレードでボディーが削れてしまう・・・・。(涙)
これでは動きを実現できたとしても、製品化なんてできません。
そして、このテイル削れの問題は、その後の開発でも度々頭をもたげ頭を悩ませる事になったのでした。
そして、時は冬を向かえ、サブサーフェスルアーの開発は翌年の春まで頓挫。
翌年の春、新しい発想にたどり着くまで、このプロトモデルは眠りに付く事になります。
つづく・・・・。
追記
この腹部ブレードのシステムは、その後、サブサーフェスとはまた違った分野で進化を遂げ、ブレードクランクに組み込まれていく事になりました。。