デンプシーテール開発裏話 その6 『フックアップ率向上大作戦』
2009年 09月 11日
テスターさんから帰ってきたフィールドテスト結果は強烈なモノでした。
極めつけは井上特攻隊長さんによる、琵琶湖で50バイトゼロキャッチ!!
一日50回バイトがあるってのもかなり強烈な事だとは思うのですが、
それが全部掛からないなんてありえませんわ~。(涙)
その50バイトゼロキャッチを食らった伝説?のプロトルアーがコレ!! ↓

Wプロップモデルのブラッディーカラー!!
テイル付近のペイントが剥げるぐらい食ってきているのに掛からない!!
もうね、こんなん始めての経験で理解不能です。
僕自身もこのルアーを初めて使った時に感じた事なんですけど、
このプロトで釣っていると、ハードルアーみたいな食い方はあんまりしてこなくて、
ソフトベイトみたいな感じのソフトバイトが異常に多い。
井上特攻隊長さんから頂いたお話もまさにそんな感じで、
多くのバスは後ろから追尾してきて、ブレード辺りをそっと咥えている感じ。
中には40ぐらいあるような魚で、後ろからルアーを吸い込んできて、
ルアーの2/3ぐらい口の中に入っているのにすっぽ抜けるという話。
なんで、そんだけ深く食い込んでてすっぽ抜けるの?って、益々??????状態。
実はこのブラッディーカラーを送ったテスターさんは、井上さんの他には渡辺さんのみで、
他のテスターさんにはシルバー系の色を送ったのですが、それらのプロトでは掛かりは悪いものの、それでも数回に一回は掛かるぐらいのレベル。
もしかしてカラーが大きく影響しているのか?
この話を他のテスターさんに伝えたところ、
同じブラッディーカラーを送ったナベさんがある工夫をして44センチをキャッチ。

ナベさんの工夫とは、ブラッディー系ボディーにゴールドブレードが原因でブレードバイトが多発しているかも?と言う事で、ブレードを目立たせなくする為に、
ブレードを赤マジックで塗って全身をブラッディーカラーにするというモノ。
まさに技あり!!
なるほど~と唸らせられた一本!!
デンプシーテールのカラーにNLW恒例のブラッディーがラインナップされていないのはこの時の経験によるものです。(トラウマになっているとも言うけど。苦笑)
さて、それではどうするか?
状況を客観的に整理すると、
このルアーのフッキング率が悪いのは、バスのバイトの出方に問題があるのは一目瞭然。
もっと突っ込んだ事を言えば、
通常、ハードルアーには食ってこないような魚まで食ってきてる感じで、
ワームみたいな感じで、ちょいとアマ噛みするって感じのちょっかいバイトが異常に多い。
で、結果、ミスバイトが続発という感じ。。。
なら、そのアマ噛みバイトをどうフッキングに結びつけるか?と考えて色々改良したモデルがこのモデル。
↓ ↓ ↓

SD85Fボディーベースを仮にType1と呼ぶ事にすると、コレはType1でベストセッティングと思えるバランス。
改良内容を簡単に言うと、
■ テイルフックにローリングスイベルを追加
■ フックを細軸のST26に変更
■ プロップを丸プロップから細プロップに変更
■ コロラドブレードの装着位置の変更
テイルフックをスイベルで連結し、かつ細軸フックにする事により、触れたら掛かるセッティングに。
そして、後ろから食ってくる場合、もしかしたら丸プロップがバスの口をこじ開けてフッキングの妨げになっているのでは?との理由で、細プロップに変更。
これらの変更で確かにフッキング率は向上!!

井上さんがこのセッティングでキャッチされたナイスコンディション。
急な冷え込みが入った晩秋の湖北の激スレ取水塔で見事にキャッチ!!
この時点で、フッキング率は幾分改善し、3匹に1匹ぐらいは掛かるぐらいになってました。
そして、ここで葛藤が・・・・・。
最初のあまりのフッキング率の悪さを考えると、
3匹に1匹掛かればいいんでない?って思いと、
いやいや、これで満足したらイカンでしょうって二つの思いが交錯し、結論が出ない状態。
そして、結論が出ないまま、また季節は冬を迎える事になります。
しかし最終的には改良を決意!!
その一番の要因になったのはST26のフックセッティング。
この細軸フックでは、琵琶湖のモンスターバスに対抗できん!!
との思いが後押しとなり、更なる改良を決意する事になりました。
しかし、季節は真冬、カナダの湖は全面結氷・・・・・。
スイムテストをする事すら不可能な状態で何をどうしたらいいものやら?
冬場、自分がテストできない代わりに井上特攻隊長さんが人柱となり(まさに志願兵)、
鼻水も凍るような厳寒期にもメゲず、ひたすらWスイッシャーを投げ続けて下さいました。
そんな厳寒期にも関わらず釣果が上がったりしてサブサーフェスの破壊力にビックリしたのですが、
その厳寒期テストで、極めて貴重な発見、そして本当に貴重なフィードバックを井上特攻隊長さんから頂く事になります。
自分が経験した事と考え合わせた瞬間、
そっかー!!と一つの道が目前に開けたのでした。
そして、その考察を元に新ボディー設計に足を踏み出す事になります。
つづく・・・・