デンプシーテール開発裏話 その7 『琵琶湖厳冬期テストでの発見』
2009年 09月 16日
これまでの話はコチラ。(http://beatour.exblog.jp/i27/)
ここから先、何回かに分けて書く事になるであろう事なんですけど、
正直な話、ルアービルダーとしてはマジで書きたくない話になると思います。(ホントに書きたくない。汗)
井上特攻人柱隊長による琵琶湖厳冬期テスト。
はっきり言って、何も事情を知らない人がその光景を見たら、頭がおかしいんで無いの?ってレベルの話ですよね。(笑)
だって、井上特攻隊長が必死で真冬の琵琶湖に投げているのはサーフェス系のWスイッシャーなんですから。(笑)
普通の人が見たら、ああ、貴方バス釣りの事知らないのね、お疲れさん!!と白い目で見られても仕方が無い。(笑)
が、井上特攻隊長さんはメゲなかった!!
この琵琶湖厳冬期テストで井上特攻隊長さんから頂いたフィードバックは、
まさにデンプシーテールの生命線とも言える事でした。
まず、詳しい話に入る前にテストフィールドの話からしなければならないんですけど、
琵琶湖と言えど、真冬にサブサーフェスで釣れる可能性がある場所は非常に限られています。
ここではその場所を『閉鎖水域』と言っておきます。
琵琶湖の場合、ディープで越冬する群れがいると同時に、
冬になるとシャローの閉鎖水域に入り込んできて越冬する群れがいます。
そして、そういう閉鎖水域には、数は少ないけど真冬でも水面系のルアーに反応してくるヤツが必ずいます。
井上特攻隊長さんがテストフィッシングされていたのは、まさにそんな閉鎖水域。
が、このような条件を整えた場所は、真冬、オカッパリアングラーでごった返す超人気スポットであるのも事実。
デンプシーテールの厳冬期テストは、琵琶湖に幾つか存在する、そんな超人気の閉鎖水域で行われました。
さて、その超人気スポットでのテスト。
当たり前と言えば当たり前ですが、周りの人達の定番は、フィネス系ワームが殆ど。
極まれにハードベイトを使っている人がいたとしても、せいぜいスモールサスペンドシャッドぐらいです。
バスは当然の如く激スレ。
それが真冬の琵琶湖のオカッパリの定番ですから、もちろん、水面系のルアーを投げているアングラーなんて皆無。
マジ、何も知らない人からしてみれば、Wスイッシャーを投げる特攻隊長さんの行為は痛いヤツそのものです。(爆笑)
が、井上特攻隊長はメゲずに投げ続けます。
そして、ふと、ある現象に気が付かれる事になります。
その現象とは、Wプロップベイトを投げると、
周囲でベイトフィッシュがライズを始め、周囲の釣り人に連発が始まるという現象!!!
コレは何かある!!??と・・・・。
しかし、悲しいかな超人気釣り場であるが故に、井上特攻隊長さんが1匹キャッチされると、
その隙に右から左からルアーが飛んできて、自分の投げる場所が無くなる状態。
で、しょうがないので特攻隊長さんは移動を余儀無くされる訳なんですけど、
その移動した先で、またもや同じ事が起こる!!
それまでは他のフィネスアングラーにもチラホラしか釣れていなかったものが、
このWプロップベイトを投げた直後、ベイトフィッシュのライズが始まり、周囲の釣り人にも連発が始まるという現象が一度ならず、その日は何度も繰り替えされたそうです。
で、この現象について井上特攻隊長さんと話し合った結果、
もしかして、ルアーの出す音が非常に重要な意味を持っているのではないか?
との仮説を立てました。
ルアーが出す音。
バスにルアーの存在を知らしめるだけではなく、
バスのスイッチを能動的に入れてしまえる音。
このルアーが出している音は、もしかしてそんな音なのではないか?
この推測が正しければ、オカナガンバレーのあの小さな湖で、他のルアーが沈黙する中、
突然Wプロップモデルにだけバスが群れになって追ってきた事についても合点が行きます。
早速、水中音を録音して聞いてみると、このWプロップベイトが出す音は、通常のラトルインタイプのルアーが出す音とは全く異質なものである事がわかりました。
通常のラトルルアーの水中音はメトロノームのように規則正しく、甲高い音を立てて集魚力抜群!という感じなのですが、
このWプロップベイトの音はそれらの音と比較するとかなり静か。
ラトル音のような強烈な集魚力は期待出来そうにありません。
が、音量は小さいものの、このプロップベイトの音はラトルルアーに無い武器を持っていました。
極めて複雑な音質です。
このルアーが出す音は、『プロップが回転する時に発生させるカリカリという回転音』にプラスして、
『テールプロップと腹部ブレードの金属接触音』、そして『フックがボディーに当たる音』が、何とも言えない複雑な音となって水中に響いていました。
で、当時、ちょうどタイミング良く、バイオソニックユニット(ベイトフィッシュの水中音を発生させてバスの活性を上げる装置)に搭載されている音声ファイルを聞く機会に恵まれたのですが、
その中で、このWプロップベイトの出す音は、シャイナーのフィーディング音と酷似している事がわかりました。
この音声ファイルを聞いた瞬間、
なるほど!とガッテン!!(笑)
もしかして、この音に触発されて、ベイトフィッシュが勘違いをしてライズし始めたのでは?
そして、もしかして、そのベイトフィッシュの動きに刺激されてバスの活性が一瞬上がったのでは?
そう考えると、今まで疑問に思っていた事が一気に理解できたような気がしました。
まさに、今まで抜け落ちてたパズルのピースがカチリと音を立ててハマル感覚。
そして、この事に連動して、初期のウェイクベイト型プロトで試行錯誤していた時に経験したある現象を思い出したのでした。

このプロトで経験したある現象。
そして、井上特攻隊隊長さんが真冬の琵琶湖テストで発見された音の秘密。
この二つの要素を重ね合わせる事により、
デンプシーテールのフッキング率改善策は、今までとは全く違った観点からアプローチが始まる事になります。
つづく・・・