車水没記 【ボートをランチングされる方はご注意を~】
2015年 06月 10日
この日は、本格的なシーズンインの前にボートと船外機の調子を確認しておこうと、普段はボートを降ろさない近所のマリーナからオンタリオ湖に出撃。(これが結果的に非常に幸運でした)
この日の釣行はボートと船外機の調子を見るのが主目的なので、釣りは3時間ぐらいの予定とし、15分ほど走ってNY州の水域でプリスポーンのスモールマウスを狙ってみる事にしました。
そしたら、思惑通り、2キロオーバーのブリブリのスモールマウス君がジャーキングでヒット!

この日はノースフォークコンポジットのJPR65MLの最終モデルのデビュー戦でもあり、最高の滑り出し!
ブログの本題とは関係ありませんが、JPR65MLの最終モデルは素晴らしいの一言です♪

ってな訳で、3時間の釣行を終えてマリーナに戻り、ボートを上げる作業に入ります。
ボートランプが若干混んでいたので、桟橋にボートを係留し、ボートランプが空くのを待って、車&トレーラーを駐車場に取りに行き、いつも通り、バックでトレーラーをスロープに進入させます。
そして、まさにそのタイミングでまさかの事件が発生!
車&トレーラーをバックさせていると、突然ボンネットから白煙!!(汗)
そして、開けていた窓から異臭が車内に流れ込んできます!!!(滝汗)
その直後!
ブレーキペダルの油圧が抜けて何の手応え(足応え)も無くなり、床までベタ踏み状態に!(滝汗)
そして、同時にメーターの警告灯が一斉にON!
もう、何が何だか訳わからん状態。(後でメーターを確認したらABS、トラクションコントロール関係、エンジンチェックの警告塔が点灯してました)
で、既にスロープでバック状態に入っていた事もあり、ブレーキの故障をきっかけにして、車&トレーラーが重力に引かれて加速!!
もう、完全にパニック状態です。(ナイアガラの滝汗)
ブレーキを踏んでみるものの、油圧が完全に抜けちゃってて、どんなに一生懸命踏んでもブレーキは床に張り付き、何の制動も得られません。(泣)
車はスロープの傾斜でどんどん加速し、そのまま何もなす術もなく、トレーラーごと水中にザッパーンっと入水!(大泣)
そして、気が付いたらこんな状態になっておりました。↓

自分の車の前に水が見えるというレアな光景。(笑)
本来は、トレーラーがあるべき場所に車が居るという不思議。(笑)
最終的には、トレーラーのテール部分がスロープ下の泥ボトムに突き刺さり、車とトレーラーがジャックナイフ状態に折れ曲がって、車のリアバンパーがスロープ横の壁にヒットして、ようやく暴走が止まってくれました。
そして、救出を待っている間に車内にドンドン水が入って来ます。
救出を待つ事5~10分ぐらい。
カーゴルームは完全に水没、後部座席は半沈、そして、一番水に浸かっていない運転席も足首の上あたりまで水没。
で、マリーナのスタッフの方がブルドーザーで救出に来てくれ、チェーンを掛けるべく車外に出ようとするのですが、水圧でドアは全く開きません。
しょうがないので窓から出て、エンジンフードを伝って車の前に移動し、入水してチェーンを引っかけます。
水温10.3℃で全身ビチョビチョの辛いことったらありませんが、そんな事言ってられません。(笑)
そして、ブルドーザーに引っ張ってもらって、無事にサルベージが完了。
引き上げてもらった車を見ると・・・
何もかもがびっしょ濡れ。

ブレーキオイルのリザーバータンクはすっからかん。(汗)

ブレーキラインの何処かでリークが起こったのが原因であることは明白です。
朝、出発前に点検した時は全く大丈夫だったのに、怖すぎです。(怖)
ボートスロープ横の壁にヒットしたリアバンパー。

横に壁が無かったら、もっと酷いことになっていたと思います。
助手席側のドアに残っていた水没ライン。

テールランプの中にも水が浸入。

車高のあるセコイア君ですが、テールランプが完全水没するところまで沈してしまっていたようです。
後部座席前にあるカップホルダーも水で満杯。(笑)

っとまぁ、こんな状態。
驚いたのは、こんな酷い状態にも関わらず、エンジンは何事もなかったかのように普通に回り続けてくれた事。
あと1m下がってたらエンジンも完全に水没してたと思うので、ギリギリのところで止まってくれたのは不幸中の幸いだったと思います。
もちろん、ブレーキは全く効かないので、修理工場へはレッカー車で移動させてもらいました。

まさにドナドナな気分。(泣)
そして、修理工場で3日間ほど乾燥させてもらい、保険会社に修理が可能かどうか査定してもらいます。

詳しい方に教えてもらったところ、こういうケースの場合、修理費が車の現在の価値(市場価格)の3/4を超えてしまった場合は修理不能と判断されるそうで、僕のセコイア君も修理不能の査定。(泣)
エンジンは全く問題なく掛かるのですが、電気系が相当逝ってしまっているとの事でした。
という訳で、残念ながらセコイア君とはお別れが決定。(涙)

とてもいい車で、家族共々メチャクチャ気に入ってて、本当に残念ですが仕方がないですね。
3年半、この過酷なオンタリオの環境を走り抜いてくれ、家族を安全に目的地まで運んでくれたセコイア君にただただ感謝です。
そして、この事故が高速道路ではなく、あの場所で起こってくれた事に深く感謝。
もし高速道路であの事故が起こっていたら、おそらくボートもろとも大事故になっていた可能性は高いと思いますし、もしランチングした場所が、あの浅いマリーナではなく、ナイアガラリバーとかだったら、奈落のドロップオフに飲み込まれて、車もトレーラーもナイアガラリバーの藻屑と消えていたと思います。
実際、今回もエリー湖に行くか、近所のマリーナから出撃するかで迷ったのですが、
浅い水深のマリーナだった事
マリーナのスタッフの方に直ぐにレスキューして頂ける環境であった事
家から至近距離で事後処理がスムーズに行えた事
など、様々な幸運が重なり、命を落とす事もなく、ケガをすることもなく済んだと思います。
そして反省点。
まず第一の反省点は、今回の事故が起こる1か月前に、ステアリングオイルのパイプが腐食してオイル漏れを起こしていたので、ブレーキオイルのラインも疑ってみるべきであった事。(複雑なブレーキラインの総チェックは難しいですが)
ステアリングオイルのリーク修理後は、運転前は必ずエンジンフードを開けて各種のオイルレベル等はチェックしていたのですが、故障する可能性があるのなら調べてみるべきですよね。
特にブレーキは大事故に発展しかねないので、今後はオイル交換等をする時など、プロの目でも確認してもらおうと思っています。
第二の反省点は、もしブレーキが故障した時などに備えて、サイドブレーキの使用を想定していなかった事。
ブレーキが故障して水中にダイブするまでの僅か5秒ほどの間に、パニくった思考回路の中で、サイドブレーキを使うという事を発想する事は僕の場合は無理でした。
何かあったらサイドブレーキを使うという心の準備をしておき、練習しておく必要があると思いました。
仮に今回みたいにブレーキオイルが抜けてブレーキが効かなくなった場合でも、サイドブレーキは別系統なので、いざという時に絶対に役に立ちます。
ただ、サイドブレーキで制動するのは後輪なので、後輪が水に入る前に制動する必要があります。
その為にも、何かあったら即座にサイドブレーキを引ける準備をしておく必要があると思います。
そして、最大の反省点は、ボートスロープが車にとって極めて危険な場所であるという事を忘れていた事。
初めてボートをランチングした頃は、とにかく何をするにもビクビクしていましたが、何十回もボートのランチングを繰り返している内に、そのビクビクを忘れ、感覚が麻痺していたのが最大の反省点だと思います。
初心忘れるべからずですね!
あと、今回の事故で学んだ事は、一回水没してしまったら、車のドアは水圧で全く開かなくなるという事でした。運転席のドアは1/3が浸かっていたぐらいでしたが、車外と車内の水位が同じにならない限り、人間の力ではたぶんドアは開かないと思います。
なので、いざという時の為に脱出方法も考えておく必要がありそうに思います。
特にパワーウィンドウの場合は、電気系が逝ったら動かなくなってしまう可能性も高いので、脱出用にウィンドウガラスを割れるツールを準備しておいた方がいいかもです。
参考までに、下記リンクと動画を貼り付けておきますね。
■ JAF 車が水没した時の対処と脱出方法→http://www.jaf.or.jp/qa/accident/trouble/04.htm
■ ガラス割りのハンマーの性能テスト
ボートをランチングされる方は多いと思いますので、皆さんもくれぐれも気をつけて下さいね~。