チッパワトーク第8話です。
今回はブレードについて書いてみようと思います。
チッパワシリーズにはRBブレードと、DDブレードの2機種にオリジナルブレードが装着されていますが、実はプロトタイプの段階では別ブレードで開発を進められていました。
写真左 : プロトブレード
写真右 : 製品版ブレード
裏返してみると、こんな感じ。
写真左 : プロトブレード
写真右 : 製品版ブレード
プロトブレードは平べったく、ブレードのエンド部が斜めに跳ね上げられている形状。
対する製品版ブレードは、カーブが深い独特な形状。
全く形状が異なります。
ブレードの曲げについて大まかにご説明させて頂きますと、
1.平べったいブレード
回転角が大きくなり、巻き抵抗が増大する
2.カップが深いブレード
回転角が小さくなり、巻き抵抗が軽くなる
いつもの如く雑な説明ですが、概ねこうなります。
超雑な説明ではありますが、これはウィローだろうがコロラドだろうがインディアナだろうが、ブレードのタイプに関係なく同じことが起こります。(異論は認めませんw)
で、ここからが本題。
この全く異なる2枚のブレードがチッパワのブレードモデルにどう影響するかという話ですが、冒頭でも書いた通り、プロトタイプは平べったいブレードで開発を進めていました。そして、発売直前までその試行錯誤は続いていました。
平たいブレードを装着したプロトタイプですが、これはこれで熟成が進められ、十分魚は釣れていましたし、その年フロリダで開催されたICASTで発表したぐらい最終段階まで来ていたのですが、そのICASTで事件が起こりました。
2年前の夏、その日僕はICASTに出展するためにフロリダにいたのですが、ショー展示用にフロリダに直送してもらった製品版のチッパワRBブレード最終モデルを宿のプールでテストしてみたら、きちんと泳がないという事が発覚。(滝汗)
低速~中速域では問題なく泳ぐものの、高速域でバランスが崩れすぎて宙返りしてしまう個体があり、マジか!?ひえぇええ、と。(涙)
で、早速原因究明に努めてみたものの明確な原因は不明。
工場が組み上げてくれたチッパワボディー本体には問題は無く、おそらくですが、目で見ても全く判別できないぐらいのほんの少しのブレードのカーブの違い、ほんの少しのスプリットリングのサイズの違いなどが組み合わさって、この問題を発生させているようだという事が理解できました。
その事を受け、チッパワRBブレードはその年の9月に予定していた発売を取りやめ、翌年の春に延期。
そして、様々な試行錯誤の果てに、ようやく一枚のブレードが誕生しました。
このブレードの最大の特徴は、回転角が小さくて水の抜けも良く、かつ軽やかに回ってくれること。
大きな回転角でブリブリと力強く回るプロトブレードとは対照的な特性を持つブレードになりました。
プロト版は力強く回ってくれてアピール抜群でしたが、その抵抗の強さゆえ、高速域でチッパワボディー本体の動きがブレードの抵抗に負けてしまい、バランスを崩してしまったという事だったのです。
製品版ブレードはブレード単体としてみたら、頼りなさを感じるぐらい軽い抵抗で回るのですが、チッパワに装着した場合、そのぐらいがちょうど良かったと。
要するに、ブレードだけ見ててもダメ、クランクベイト本体だけ見ててもダメ。
クランクベイト本体+ブレードでバランスを突き詰めていくことによって、限界までポテンシャルを引き出せるという事ですね。
もちろん、チッパワボディー本体にもブレードを装着する事を前提としたチューニングが施されています。
チッパワブレードモデルはこのブレードを手に入れる事によって超低速~超高速まで対応できるクランクとなり、ようやく世に送り出されたのでした。
チッパワトーク#8 End