ただ今、大変なご反響を頂いておりますアビノー110Fですが、このルアーもニシネルアーワークスならぬニシネブレードワークス全開のブレード付きルアー。
という訳で、今日のブログではそんなニシネブレードワークスの歴史を少しひも解いてみようと思います♪

NLWのブレード付きルアー大集合
年代別に順を追ってNLWのブレード付きルアーの歴史をご紹介させて頂きますね。
■NLW1作目のブレード付きルアー

ブレードクランクM5R
デビューイヤー:2008年2月
このルアーが誕生したのは今を遡る事13年前の事。
ニシネルアーワークスのブレード付きルアーの歴史は全てこのブレードクランクから始まりました。
クランクベイトの動きにブレードの動きが加わったら、より一層魚をだまくらかせるんじゃないか?というシンプルな発想が出発点になったこのブレードクランクさん。
このルアーをきっかけにしてNLWを知って下さった方も多いんじゃないかと思います。
お腹のこの位置にブレードを装着する事によって乱水流を起こし、かつブレードがテールフックと干渉しながら泳ぐ事で金属接触音とチドリアクションを発生させるという仕組み。
このブレードクランクはNLW史上、おそらく最も累計生産数が多いモデルで、今でも定期的に生産を続けています。
■NLW2作目のブレード付きルアー

デンプシーテール85S
デビューイヤー:2009年9月
当時発売していたスライドダートのリップを削り落としてダブルプロップベイト化し、ついでに冗談でお腹にコロラドブレードをつけてみたら、あらまビックリ!カラコロと音を立てながらダブルプロップベイトがロールをしながら泳いでくる!!という衝撃的な出会いからデンプシーテールの開発がスタートしました。
プロップ2枚にブレードまでつき、もはやチンドン屋のような風体にどうなのよ?と言う感じだったのですが、やたら良く釣れたので、このルアーに合わせたボディー形状やバランスなどを見出し、デンプシーテールが完成。
このデンプシーテールが今年6月に発売予定のアビノー110Fの原点になっているルアーです。
このルアーはプロペラやヒートンなどがパーツメーカーの都合で入手不可になってしまった為、今のところは生産休止中。(同じ理由でオチアユWPも製造休止中)
このルアーでは発売直後の2009年11月に、カリフォルニアで推定68センチ14ポンドのスーパービッグバスが釣り上げられています。(
記事)
■NLW3作目のブレード付きルアー

デカビーツァMG5
デビューイヤー:2010年8月
デビューから既に10年以上経過してますが、未だにNLW屈指の人気ルアーです。
このルアーもブレードクランクと同じく今まで何回再生産したか分からないモデル。
ボディーがデカいので、お腹のブレードも少し大きめ。ルアーアクションにブレードが作用するメカニズムはブレードクランクと同系統です。
ビッグフィッシュの釣果報告を頂く事が多いNLWルアーの一つです。
■NLW4作目のブレード付きルアー

オチアユミノー125FR
デビューイヤー:2011年6月
このルアーでついにNLWはブレード2枚付けという新たなる領域に足を踏み入れてしまいますw
もうこの頃にはハードベイトにブレードが付いているのは自分の中では全く普通で、付けれるもんならハードベイトに何枚でもブレードをつけたくなる病が進行w
このオチアユミノーですが、2枚ブレード搭載というキワモン一歩手前(というかキワモンw)というルアーながら、デカビーツァと同じくビッグフィッシュの釣果報告をよく頂くルアー。
このルアーの開発で、ブレードをフックハンガーに装着したらええやん!💡という事を学び、その遺伝子はその後のファットブルシリーズやチッパワブレードモデルなどに受け継がれていっています。
■NLW5作目のブレード付きルアー

ファットブル8
デビューイヤー:2011年7月
このルアーが登場するまでのNLWルアーは本物の魚に近いリアル形状と性能の両立を目指して形にしていましたが、このルアーで初めてそのリミッターを解除。
アクションレスポンス重視でルアーを設計し、そのボディーにNLWフィニッシュを施すという手法で開発しました。
ファットブルシリーズの最初のモデルは8フィートまで潜るファットブル8。
ウィグルワートみたいなアクションが出ないかな?と、試しにボディーに対してやけくそにデカいリップを装着してみたところ、全くウィグルワートにはならなかったのですがw、今まで見たことがないような超ハイピッチで泳ぐミドルダイビングクランクベイトになってくれました。
このファットブル8はブレードがテールに装着されているのが特徴で、ブレードの抵抗で尻尾の左右の振りを抑制してタイトアクションにする事で、よりピッチスピードを加速させています。
圧巻だったのはこのルアーで琵琶湖の長谷川耕司さんがキャッチして下さった68㎝5200gのスーパービッグバス。
この魚はきちんと計測された魚の中ではラージマウスバスのNLWレコードになっており、未だにその記録は破られていません。
■NLW6作目のブレード付きルアー

ファットブル4
(写真のカラーは江戸物の石名さんが塗って下さったカラー)
デビューイヤー:2011年9月
このルアーもファットブル8と同じくアクションレスポンス最重要視のリミッター解除仕様。
ファットブル8と同じく超ハイピッチで泳ぐシャロークランクで、このルアーも未だに再販希望を多く頂くモデルです。
お腹のフックハンガーに少し大きめのウィローリーフを装着してタイトアクション化し、ピッチを加速。
カバーなどにコンタクトした際は、このブレードの抵抗がパラシュートアンカーのような役割を果たして瞬時にバランスを立て直すという役割も果たしています。
■NLW7作目のブレード付きルアー

ファットブル1
デビューイヤー:2012年4月
このルアーはファットブルシリーズの長男(FB8)と次男(FB4)とは全く異なる方向を目指したルアー。
ファットブルシリーズの持ち味だったハイピッチハイレスポンスをあえて捨て、このファットブル1が向かった先はカバーの中でした。
それも普通はクランクベイトを投げ入れようなんて思わないレベルのベジテーションカバー。(
動画←こんな場所に投げ入れれます)
FB8&FB4と同じボディー形状を持ちながら、全く違う事にチャレンジしたルアーで、お腹にはボディーサイズと比較してアンバランスなぐらいデカいウィローリーフブレードを装着しています。
スピナーベイト感覚でウィードの中や葦林に投げ入れて、巻いてこれるシャロークランク。
■NLW8作目のブレード付きルアー

パユート85S
デビューイヤー:2012年11月
お腹にブレードが装着されているのはデンプシーテールと同じですが、パユートはプロップを持たないボディー。
シンキングで、アクション的にはI字形でもなく、かと言ってリップ付きミノーのようなアクションでもなく、製作者本人がどのジャンルにカテゴライズしたらいいか分からないルアーですw
早巻きすると、水面直下を超微振動を発生させつつ全力で逃げる小魚のような感じのハンティングアクションを起こしながら泳いでくるといった感じの動きで、その動きもやっぱりカテゴライズできない感じ。
その運動源になっているのはお腹に装着されている小さめなインディアナブレード。
なぜコロラドではなくインディアナなのかというと、パユートに関してはこのブレードがマッチしてて良く釣れたからです。(理由はいつもシンプルですw)
このパユートの原型は元々はトラウトのレイクトローリング用に作ったシングルテールフック仕様のプロトタイプで、そのボディーをバス用にアレンジしたのですが、個人的には今まで削り出してきたルアーボディーの中で、彫り出したかった形状を最も彫り出しきれたと感じているルアーです。
パユートの歴史 →
https://beatour.exblog.jp/i37/
■NLW9作目のブレード付きルアー

ファットブル2
デビューイヤー:2014年2月
このルアーはファットブル三男坊のファットブル1の血を色濃く受け継いだモデル。
あり得ないぐらいのソフトカバー対応能力を持つFB1をもう少し潜らせて欲しい!とのリクエストを元に作り上げたモデル。
このファットブル2は、対ソフトカバー対応能力はFB1には一歩及びませんが、FB1に近いソフトカバー対応能力を持ちながらもハードカバー対応能力も併せ持ったモデルとしてデビューしました。
お腹のブレードはFB1より小さめのウィローリーフでバランス取りしています。(これもその方が良かったからという理由)
個人的には、このFB2はオンタリオ初の50センチオーバーのラージマウスバスを釣り上げたメモリアルモデルです。
■NLW10作目のブレード付きルアー

チッパワRBブレード
デビューイヤー:2019年3月
ここまで連綿と続いてきたNLWのブレード付きルアーの歴史ですが、ここでついにマスプロダクションの世界に歩みを進めます。
このチッパワRBブレードの原点になっているのはもちろんハンドメイドモデルで、ハンドメイドで培ってきたものを全てこのルアーに注ぎ込みました。
お腹のフックハンガーに装着したブレード、それもハンドメイドモデルでは実現できなかったカスタムブレードを実現できたのは嬉しかったなぁ。
そんな想いのたけを込めて作ったチッパワRBブレードは、クランクベイト不毛の地と呼ばれていたエリー湖やナイアガラリバーのスモールマウス狙いで、中層クランキングという新世界を僕に教えてくれました。
■NLW11作目のブレード付きルアー

チッパワDDブレード
デビューイヤー:2019年9月
チッパワRBブレードでスモールマウスの中層クランキングの面白さを知ってしまった僕が次に向かった先は、もっと深い深度。
もっと深いところでチッパワRBブレードを使えたらもっと釣れるんじゃね?と、何時もながら、いたってシンプルな思考回路で作り上げたモデルですw
そして、結果は思惑通りと言えるもので、このチッパワDDブレードは更にスモールマウスの中層クランキングの世界を広げてくれました。
更にスモールマウスだけではなく、ラージマウス、スティールヘッド、ブラウントラウト、レイクトラウト、パイク、ウォールアイ、サーモン、マスキー、ドラムなど、魚種問わず様々な魚が釣れるので、五大湖界隈の知り合いのガイドさん達は、チッパワDDブレードをガイドツールとしてキャスティングだけではなく、トローリングでも使われています。
■NLW12作目のブレード付きルアー

アビノー110F
デビューイヤー:2021年6月(予定)
いよいよNLWのブレード付きルアーの歴史は、現在(2021年3月)を飛び越して2021年6月に進みます。
それは、先日全貌を公開させて頂いたアビノー110F。
ダブルプロップベイトボディーのお腹にブレードを装着したアビノー110Fのシステムはデンプシーテール85Sが原点となっています。
そのアビノー110Fの開発の過程はこんな感じで進みました。
このモデル↓はデンプシーテールをデカくして発泡ウレタンで作ったプロトタイプ。
デンプシーテールをより遠くまで飛ばすためにボディーを大型化したプロトタイプなのですが、このモデルが非常に使い勝手が良く、しかも良く釣れてくれたので、アビノー110Fはこのサイズのボディーに決定しました。
ちなみに、何故このデカデンプシーテールを製品化しなかったかというと、ブレードが著しくボディーを削ってしまうので、これは発泡ウレタンじゃなく、ABSボディーで作るべきルアーだという判断。
その発泡ウレタン製のハンドメイドモデルを元にして出来上がったのが、この中空プラスチックボディーのプロトタイプ。

このプロトタイプが出来たのは、2018年9月頃。
当時の初期プロトはまだ逆つけフロントプロップではなく順付けプロップセッティングになっており、ブレードも完成形の今の形状&システムではなく、スイベルでコロラドブレードが装着されていました。
その後、開発が進むにつれて、どうしてもスイムアクションが安定しないという問題にぶち当たり、ブレード形状を見直す事で少しづつ改善していったのですが、色々試した結果、スイベルがスイムアクションの安定化を妨げていたことが判明。(ブレードの自由度が高いのでランダムに動き過ぎる)
そこで、ブレードをスイベル無しでスプリットリングオンリーで装着する方法にたどり着きました。

このシステムにようやく辿り着いたのが2019年の12月頃。
もう、これが完成した時にはよっしゃあ!遂に完成した!と大喜びでマスプロダクションのゴーサインを出したのですが、その後急転直下、思いもしなかった事態が発生します。(しかもそれが判明したのがつい最近💦)
何が起こったかというと、自分の中ではスイベル無しのブレード装着法がアビノー110Fにおいての完成形で、一通りの調査では同じようなルアーが見つからなかったので自信をもって量産化を進めていたのですが、実は既に先駆者が居らっしゃったことを知り大慌てに!(滝汗)
その先駆者というのは友人でもある痴虫ルアーの松本さん!!
灯台下暗しとはまさにこのことでした💦
ひょんなことから松本さんが製作されているカブメスというモデルが、お腹にブレードをダイレクトに装着したモデルだという事を知り愕然。
もちろん、僕もカブメスというルアーを松本さんが製作されている事は知っていたのですが、いかんせんカナダではその実物を見る機会がなく、かつ自分が所有している松本さんの海馬はブレードがスイベルで装着されている為、カブメスのブレードもスイベルで装着されているものと勘違いしたままアビノーの量産GOサインを出してしまったのでした。

痴虫ルアー 海馬
そんなわけで、厚かましくも松本さんに事情を話してご相談させて頂いたところ、大変ありがたい事に松本さんからブレードの装着方法についてご快諾を頂き、アビノー110Fを無事に製品化に漕ぎつける事が出来たという次第です。
この場を借りて、松本さんの寛大なお気持ちに深く感謝いたします。
痴虫ルアー松本さんのブログ → https://chimush1.exblog.jp/
と、最後はアビノー110Fの開発裏話的な話になりましたが、NLWのブレード付きルアーの歴史はこんな感じです。
思えばハードルアーにブレードを装着したルアーを初めて世に送り出してから13年という年月が経っていますが(ブレード付きハードルアーの開発は2006年あたりから開始)、ハードルアー+ブレードの世界は、まだまだ沢山の可能性を秘めていると信じて疑いません。
これからもニシネブレードワークスの名に恥じないよう、その可能性を追求して行きたいと思います!