Voice From The Water 『日々修行』
2009年 04月 08日
JBトッププロによる不正。
不正はあかん。
不正は絶対にやったらあきません。
何故、相羽さんがそんな事をされてしまったか。僕なんかには想像もつきません。
きっと色んな事情があったんでしょう。
しかし、どんな事情があったにしろ、やってはいけない事はやってはいけない。
そんな事は小学生でも分かります。
本当のプロフェッショナルと信じていただけに、大きな失望感、そして大きなモノを失った喪失感。
未だに何か悪い夢を見ているみたいです。
相羽さんのファンの方々にとっては、本当にショックな出来事だっただろうし、マジメにバス釣りに取り組んでいらっしゃる方であればあるほど深い失望感を感じられたのではないでしょうか。
自分の好きなバスフィッシングを全否定されたと感じても仕方ないですからね。(涙)
今回の一件は本当にショックな出来事でしたが、でも、僕的にはそれ以上に気になることがあります。
それは、今の日本の釣り業界に感じる、ある種の違和感。
一体誰が主人公なの?
って何時も感じます。
カナダに居るから余計そう感じてしまうのかもしれないけど、正直???と感じてしまいます。
人前に立って何の疑問も持たない人、完全に道化師に徹する事ができる人、もしくは自分をスターと勘違いしている人(苦笑)であれば、むしろこんな悲しい事は起こらなかったかも・・・・・とすら思います。
自分の立ち位置が上がっていけばいくほど周囲の期待も大きくなるわけで、ピュアな釣り人であればあるほど、そして真面目な性格であればあるほど、自分の考える立ち位置と、周囲の期待とのギャップに苦しむのでは?と思ったりもします。
どちらにしても、そのプレッシャーが壮絶である事だけは想像に難くない。
僕自身は、『主人公はあくまで釣り人一人一人』と考えているのですが、
実際はある種のカリスマ性を持った人物が、もてはやされている現実。
本当にこれでいいのでしょうか?
僕みたいな、性も無いルアービルダーであっても、天才?とか、神の手?とか、社長???とか、色々なお褒めの言葉を頂く事があります。
その度に、丁重にお断りしています。
僕はそんな立派な人間ではないから。
そりゃあ、自分はとても弱くてバカな人間だから、優しくしてくれる人や言葉に甘えたくなる事も多々あります。(恥)
が、そんな言葉に満足し、酔いしれてても、そこから先には決して進めない。
自分の求めている場所には永久に辿り着けない。
僕はそう考えています。
ルアー作りで飯を食わせてもらっている以上、自分の仕事は裏方業。
それ以上でもなければ、それ以下でもない。
『主人公は釣り人一人一人』
NLWはその為に存在していると思うし、自分がこの世に生かしてもらっている存在意味だと考えています。
この気持ちは今までも、そしてこれからも絶対に変わらないと思います。
今回の一件では、プロフェッショナルという事について色々考えさせられました。
プロってなんだろう?って。
自分はルアー作りのプロ。(ルアー作りで生活をさせて頂いているという意味で)
だけど、だからと言って自分が偉いとは思わないし、特別な存在だとも思わないし、そこに何のステータスもプライドも感じません。
ただ単に自分が果たすべき仕事をどうやって形にしていくか。
どうやったら目標を達成できるのか。
ただそれだけです。
だから、その目的から外れると感じたものは、自分にとっては不必要なモノ。
手の感覚を鈍らせたくないから、酒もタバコも薬?も一切やりませんし、お茶すらも殆ど飲みません。(カフェインが微妙な指の感覚を鈍らせるので)
手に油を付けたくない(ペイント剥離の原因になる)ので、ポテトチップスはハシで食べるし。(それは関係ないか?笑)
好きだったバイクもスノボも止めました。
とにかく『平常心』を失いたくないので、女?も博打も、もちろんやりません。
と言うか、麻薬的な事は釣りだけで充分!!!(爆笑)
なので、名誉欲とか、行き過ぎた金銭欲なんかも、自分にとってはあまり意味が無い事。(むしろ邪魔)
名前が売れるとか有名になるとか、そんな事はどうだっていいし、お金だって、自分の家族が守れればそれで充分。
むしろ、そういう余計な事に気持ちを囚われて、自分が見るべき事、感じるべき事、そして作るべきものを見失ってしまう事の方が、僕にとってはよっぽど大問題です。
そりゃあねぇ、大きな仕事になるとビビりますよ。(笑)
自分のブランドだったら、売れなければ自分が苦しい思いをするだけで済む話ですが、他社の仕事をさせて頂く時は、そうはいかない。
釣れるルアーである事は大前提で、更に仕事相手の会社の売り上げや、そこで働く方々の生活まで関わってきますから、その事を考えると、正直、木にナイフを入れるのをビビル事があります。
何よりも、その製品はその会社の名前を冠して販売される訳ですから、その責任は果てしなく大きい。
そのプレッシャーは決してイヤな訳ではないけど(むしろワクワクする事の方が多い。笑)、なかなか形に出来ない時は本当に苦しいです。
だからと言って自分に逃げ帰る道は無い。
余計な事なんて考えている余裕は一切無い、というのが正直な気持ちです。
トリプルインパクトの開発の時は、どうしてもある条件を満たしたフィールドでスイムチェックをしなければならなくて、その条件を満たす場所が一箇所しか思いつかず、でもそれはネイティブインディアン達のテリトリー。
悩んだ挙句、テストを決行して、案の定、インディアンにライフルを突きつけられそうになった事があります。
トリプルインパクトジョイントの時は本当に形にならなくて苦しみまくり、最終手段を使いました。
3日間、水以外は一切摂取せず、限界ギリギリまで自分の体力を落として、見えないものを感じ取ろうとしました。
そして、ルアー一個を削るしか余力が無い状態で削り出したのがTPジョイント120。
トゥルーライフスイムベイトの時は、要らないんだったら作らない!と高飛車な態度に出まくり。(爆)
人種差別は別にして、バスフィッシングに関しては日本人は基本的に格下に見られる訳ですから、怪しい東洋人がアメリカ人を納得させるには、モノで勝負するしかない。
そしてもちろん、言葉にしたからにはやるしかないし、何よりも日本人の恥になるような仕事だけはしたくないですから、必要とあらば相手が誰であってもはっきりと言います。(ケンカはイヤだけど)
自分が作ってきた全てのルアーは自分が生きてきた証であり、後悔だけはしたくないので、とにかくその時の自分にできるベストを尽くすのみ。
そして、ベストを尽くしたのなら、結果は良い事も悪い事も、素直に受け入れる。
僕の苦労話なんてどうでもいい話ですよね。
最終的には釣れるか釣れないか?という結果が全てですから。
日々修行あるのみ。
願わくば、棺桶に入るまでルアーを作っていたいと願っています。
話が脱線しまくりました。(汗)
今回の相羽さんの一件。
ただ一つだけ僕が伝えたいのは、『道具に罪は無い』と言うこと。
ルアーにしろ、ロッドにしろ、タックルは一人の力で完成するものではなく、そこには本当に沢山の方々の気持ちがこもっているモノだと思うからです。
プロはもちろん、メーカーの人、工場の人・・・・・・・・・本当に沢山の方々の、気が遠くなるほどの苦労の末に世の中に産み落とされるもの。
色々あったとしても、その本質は絶対に変わりません。
好きも嫌いも人それぞれ。
道具に対する考え方や好みも人それぞれ。
でも、例え何かがあったとしても、”おらぁ、これが好きだからこれからも使い続けるぜぇ~”って自信満々で使い続ける釣り人は、凄くカッコいいと思うし、とてもステキな事だなぁと僕は思います。(笑)
何はともあれ、凄く考えさせられる事件でした。(色々偉そうな事を書いてスイマセン。大汗)